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5年後、10年後の自分をイメージできますか?薬剤師が独立を目指すべき理由

「このまま薬剤師として勤務していたら、5年後、10年後の自分はどうなっているんだろう?」 このwebサイトをご覧いただいている方は、そんなことを自問した経験がある人かもしれません。薬剤師としての働き方の選択肢やその可能性について、薬剤師であり、経営コンサルタントでもある阿久津みづほさんに伺いました。

(2010年10月取材)

個人薬局なら1日30~40枚で単月黒字も可能に

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そんな中、ひとつの選択肢として魅力的なのが、独立して自分の薬局を経営することです。調剤薬局に勤務していても、年収は大きくは上がりませんが、独立すれば、大きな年収アップも見込めます。もちろん初期投資として開業資金は必要ですし、経営者ならではの苦労もあります。そして良い条件での開業物件を見つける事が必須とはいえ、順調に進めば半年くらいで単月黒字を実現できるのではないでしょうか。実際のシフトや勤務時間、薬剤の在庫管理、患者数と薬剤師の人数比、主な診療科目、物件の立地、等々の制約条件はつきますが、1人薬剤師で1日30~40枚の処方せんを薬剤師でこなせる状況なら、固定費(家賃、水道光熱費、人件費など)分は賄えると考えて良いでしょう。開業して半年以内にこの壁を突破して単月黒字というのが現実的な目標で設定できるのです。さらに順調に軌道に乗り処方せん枚数が安定してくれば、経営的にも安心です。

大きな病院の門前であれば、最初からある程度の処方せん枚数が予測できますが、個人クリニックなどに隣接して開局する場合には、そのドクターと運命共同体となります。開局でのリスクの一つがこの「組んだクリニックが、思ったよりも集患できなかった」というケースでしょう。医院開業では、見込み違いというのは意外にあるもの。薬局としても、ドクターの経営環境にまで関心をもち、集患のために一緒に知恵を絞るような間柄を目指したいものです。

リスクに備えるには2~3店舗を目指すべき

また、クリニック1軒だけに処方せんを頼る経営というのも心許ないもので、たとえばそのドクターが、他の薬局へ処方せんを回すようになってしまったり、あるいは健康上の理由などで突然閉院を余儀なくされるという可能性もゼロではありません。近くに同じ診療科目のクリニック&薬局ができて、患者さんが流れることもあり得ます。こうした事態に急に見舞われれば、薬局経営の危機。普段からクリニックのドクターや従業員、医薬品卸の営業などとのコミュニケーションを密にして、情報収集を行うことが大切です。

こうしたリスクに備えるには、薬局経営は1店だけでなく複数店舗をもつことを考えることでしょう。最初の店舗で堅実に黒字を重ねて、もう1店出すための資金を蓄えながら、近隣で出店場所の情報も集めるのです。複数店舗の方が、在庫管理や人材配置について経営効率のよい面も多々あります。初めからそうしたイメージで経営を進めるとよいでしょう。

また、既存の薬局を譲渡してもらって開局するのは、改装費など初期投資の節約にもなるので有利に思えますが、提示されているだけの処方せんが本当に回ってくるのか、検証には念を入れるべきです。経営の楽な物件であれば、そもそも売却される理由がありません。なぜ売りに出されるのか、納得できる理由が見つかるまで検討すべきです。甘い話は疑ってかかりましょう。ただし、大手の調剤薬局チェーンが、処方せん枚数の少ない店舗を売りに出すケースは、最近よく見られます。1日40枚あれば、大手チェーンが企業として運営するのは難しくても、個人薬局の経営なら運営していける場合も多いのです。

他業界での独立開業より成功しやすい薬局経営

いまは、日本経済全体の先行きが見えづらく、若年層を中心に自ら起業を望む人も増えています。その中で薬局経営というのは、他の業界に比べれば恵まれていると言えるでしょう。初期投資額は、たとえば店舗を作るという意味で喫茶店を作るのと同程度と想定して、開業後の集客(集患)予測は、薬局の方がはるかに容易です。予測が容易ということは、経営計画を立てやすく、資金調達の計画も立てやすいということです。そして、現場の業務は明確で専門性が高く、自分の医療へ賭ける思いなども店舗運営の中で表現していけます。

ただし、経営者である以上、自分で意志を持って物事を決めていかねばなりません。就業条件を決めるのも自分で、どれだけ働くか、いつどのように休むかを決めるのも自分です。ただ、努力したことは結果として自分に返ってきます。つまり、頑張れば収入を増やせる可能性は大きくあるということ。定年もないので、自分が働きたい限りはいつまでも現役を続けられます。

では、経営が向いているのはどういう人なのでしょう。別項では、薬局経営に必要な資質と知識、勉強についてお話しましょう。

阿久津みづほ

阿久津みづほ Mizuho Akutsu
薬剤師・中小企業診断士
メディアーチ株式会社・代表取締役。大学卒業後、情報システム開発会社での勤務、米国留学を経て、薬剤師として調剤薬局へ勤務後、医療機関への経営コンサルタントに携わる。中小企業診断士を取得後、2009年にメディアーチ(株)を設立。現在は医療現場での経験と語学力を活かし、医療分野においての各種コンサルティング業務を中心に、海外での中小企業支援業務にも従事している。

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