「いつかは独立できたらいいな~」そんな風に思ったことのある方は少なくないでしょう。しかし、その後に「でも・・・」と続いた方も多いはず。心配なのは、資金ですか?勇気ですか? 自分に薬局経営なんてできるのだろうかと不安な方のために、薬剤師としての知識・経験のほかに何が必要か、また薬局を運営していく上で大切な経営者マインドについて、薬剤師であり、経営コンサルタントでもある阿久津みづほさんに伺いました。
(2010年10月取材)
経理、財務、IT・・・ 概略だけはつかんでおくべき
会社経営という意味では、経営的な数字を見ることも必要です。経理や財務というのは、普通に生活していても入ってくる知識ではありませんから、意識して勉強しないと身につける機会はなかなかありません。とは言え、すごく詳しくなろうと思わなくても大丈夫で、基礎知識をまとめたノウハウ本を1冊読む程度で十分でしょう。必要なのは知識ではなく、全体的なイメージです。金融機関や会計事務所(税理士)の方に言われていることが何となく分かれば、あるいは、何が分からないのかが言えれば結構です。自分の知識が真っ白な状態なのに、分かったような顔をして聞くのは、いちばん良くないことです。
同様に、IT関連も基礎知識は得ておきましょう。コンピュータや情報システムについて、薬局を経営する上で効率化を求めるために毛嫌いせずに検討できる程度で結構です。「手書きで充分!」では、これからの時代は通用しません。電子薬歴の導入なども、どこかの時点で検討することになるかも知れません。情報ソースとしても、添付文書は大手製薬メーカーのものは今ほとんどがネットで見られます。患者さんも、薬の知識をネットで調べられる時代です。
メールに慣れておくことも必要です。一般的なビジネスの世界ではメールでのやり取りが常識で「返信がない=信用を落とす」ことにもなりかねません。近い将来には薬局でも患者さんとのやり取りも含めて、メールが中心になって行く可能性もあります。業務が忙しいと「メール見ている時間なんてない!」となりがちですが(実際にはその通りですが・・・)、まずは色々な情報のメールを見る習慣をつけるところから始めてみると良いのではないでしょうか。
目の前のことだけでなく、長い目で見る“数字と人”…に続く >>
阿久津みづほ Mizuho Akutsu
薬剤師・中小企業診断士
メディアーチ株式会社・代表取締役。大学卒業後、情報システム開発会社での勤務、米国留学を経て、薬剤師として調剤薬局へ勤務後、医療機関への経営コンサルタントに携わる。中小企業診断士を取得後、2009年にメディアーチ(株)を設立。現在は医療現場での経験と語学力を活かし、医療分野においての各種コンサルティング業務を中心に、海外での中小企業支援業務にも従事している。