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「私たちの事例を参考にしてください!」薬局開業応援団
「独立してよかった」と言えるために―薬剤師・薬局経営者たちの開局実例集―

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VOICE:002

「大学病院の門前と、
特徴ある店舗間を 行き来させることで
従業員の向上心を刺激」

カバヤ薬局(有限会社カバヤ)

蒲谷 亘さん(43歳/代表取締役)

神奈川県川崎市を中心に6店舗

うさぎ薬局 裾野店

MRからの転身は、決してラクなものではなかった

開業を決意されたきっかけを教えてください。

MRをしていた時に、高校の同級生の銀行マンから、港北ニュータウンの医療ビル案件で薬局をやらないかと誘われたんだけど、調剤がわからなかったので、その話は流れたんです。営業は楽しかったけれど、いつかは独立して薬局をやりたかったのと、若いうちに調剤を覚えておいたほうがいいと考え、26歳で調剤薬局に転職しました。ちょうど、MR時代に担当していた整形外科のドクターと縁があって、1~2年後に川崎市で開業することになった。その後、隣で薬局をやらせていただく約束をして、調剤を勉強しながら開業に備えたんです。

開業準備はどのように?

先生が開業する予定地の近くに空いていた事務所を、薬局をやるということで大家さんと交渉して、1年前に保証金を入れる約束で、賃貸契約をさせていただきました。当時はバブル全盛だったから、保証金も10カ月分は当たり前でしたが、大家さんがいい方で、だいぶまけていただきました。9坪で、家賃は坪あたり1万2000円、10万8000円で借りていたと思います。

開業資金は?

自己資金は120万円程度、保険金だけです。28歳のサラリーマンですから、そんなものです。あとは分包機購入に70万円くらい必要だったので、それを銀行で借りて、ほかは国民金融公庫からの借り入れです。当時は、法人を作るのに有限会社でも資本金が300万円必要だったので(2006年5月1日新会社法施行により、資本金最低額が撤廃)、個人事業主としてスタートしました。会社じゃないのでリースが組めなくて、分包機は買わなきゃならなかったですね。何件か薬局をやっていれば値引き交渉もできますが、1件目だったから、資金面で苦労しました。

従業員は?

事務が社員、パート1人ずつで、あとは一人薬剤師でした。整形外科の処方せんなので、湿布と飲み薬を少し出すくらいでしたから、それで十分。自分が役所の用事や研修で店舗を抜けねばならない時は、同級生の薬剤師にパートで入ってもらっていました。

開業コンサルタントなどに相談は?

一切していません。最初にコンサルタントを使うと、2店目、3店目でも頼まなければならないでしょう。自分で勉強して覚えないと、ずっと誰かの世話になることになる。神奈川県は薬局開設許可が厳しくて、事前相談に何度も足を運ばないとならないんです。分からないから聞きに行くのに、分からないなら来るなとか言われたり(苦笑)。そういうことも、自分でやりながら覚えていきました。

店舗レイアウトなどもご自身で?

全店舗、自分で考えています。同じ坪数でも真四角だったり細長かったり、形はいろいろですが、そこにどうレイアウトすれば流行るのかは、自分がいちばんわかるもの。薬剤師としての自分たちの距離感というものがあるんです。投薬台のこちらで仕事していて、待合室に患者さんがいて、その声が聞こえて、聞こえない距離というのがあるんです。それが2メートル20か、2メートル22かは、そのお店が決める事でしょう。

面白いですね。

調剤室を大きくL字型に取った店舗もあります。調剤棚を壁一面に一列に配置して、それが全部患者さんから見えるように。調剤している姿もパフォーマンスだと考えました。ある店舗では、投薬台近くの床色を少し濃くしました。それまでは、投薬台に張り付いて待たれることが多かったんですが、心理的に段差をつけることで、椅子で待っていて、薬の準備ができてお呼びすると初めて投薬台に来てくれるように、自然となりました。

そうした工夫はどこから?

飲食店でも、銀行の窓口でも、人の集まるところには何かヒントがないかと見ていますね。吉野家のように、中に薬剤師が5人くらい入れる投薬台というのも、スペースを有効に使えるかなと考えたりしています。もともと、1店目だけで暇な時期に、いつか流行る店を作ってやろうと思って、いろいろなレイアウトを思い描いていましたし(笑)。

その後の店舗展開は?

画像
ロゴ色は、MR時代に、学会のスライドがブルーバックに黄文字だと見やすかったことから、この組み合わせに

4店目までは2年ごとに出店できました。経緯はみな違います。2店目は、小児科のクリニックが処方せんを院外に出したいと、薬局を探していたんです。当時50歳くらいの先生で、MR出身の若い社長を求められていて、自分がちょうどその条件に合っていたんですね。新店は自分がつきっきりで準備、開業して、その時は1店目の運営は他の薬剤師に任せていました。この時も、大学の同級生薬剤師たちには助けてもらいました。女性はちょうど結婚して、時間のある人も多かったので助かりました。

2店目を出すというのは、1店目とは違うものですか?

1店目の苦労は資金面、2店目の苦労は従業員ですね。ちゃんと任せられる人が必要なのと、調剤でも投薬でも同じやり方でやることが大切です。カバヤ薬局としてのルールや内規をどの店でも揃えておかないと、他店にヘルプに入るなど、行き来したときにやりにくくなります。ちなみに、3店目になると銀行にも信用ができていて、融資は受けやすくなりました。

今回の応援団員

今回の応援団員
(入社4年目、事務員の山本由香里さんと一緒に)

かばや・わたる
1989年昭和大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして4年半勤めた後、2年弱の調剤薬局勤務を経て、1996年1月カバヤ薬局坂戸店開業。1998年4月に有限会社としてカバヤを設立。着実に店舗を増やし、2010年3月に小松川店をオープンして、現在カバヤ薬局6店舗を経営。

開業ヒストリー

開業ヒストリー

カバヤ薬局

有限会社カバヤ 神奈川県川崎市高津区溝口3-8-1(事務局所在地) TEL:044-850-8608 URL:http://www.kabaya-pharmacy.co.jp/

うさぎ薬局 裾野店

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