「私たちの事例を参考にしてください!」薬局開業応援団
「独立してよかった」と言えるために―薬剤師・薬局経営者たちの開局実例集―
ちょっと待って!コンサルタントに聞く前に…! 開局にまつわる成功談・失敗談からノウハウとリスクを探る!
ここだけでしか見ることのできない、薬剤師・薬局経営者の方々のリアルな声、リアルな開局のお話しを『薬キャリ』だけで大公開。
「ベンチャーでの起業も経験した後に
薬局×経営、薬局×ITで新しい可能性を」
スター薬局(株式会社ピークウェル)
阿部 翔太さん(25歳/代表取締役)
東京都中野区に2店舗
起業家意識旺盛に、卒業後2年足らずで独立成功
薬学を学ばれたのは?
薬剤師の家系ではなかったのですが、医学部は大変そうだし、薬学部なら当時は4年制だったので選びました。でも1年生の時点で、学内での生活に飽きてしまって。2年の時にサークルを作って、規模を大きくしようと学外にも呼びかけていたら、ある経営者の方から、大学のポータルサイトを作るからメンバーを集めてと言われ、それがきっかけでネットベンチャーを起業し、発起人メンバーの一人として取締役に就きました。
それでも、薬剤師にはなられました。
薬学部に進んだ以上、国家資格は取っておくべきです。大きかったのは、4年の冬に父が他界して、母と弟を見なければならなくなったことですね。ベンチャーは自分の性に合っていたし、仲間もいたので続けたかったのですが、薬剤師としてのビジネスで手堅く生活の基盤を得るべきだと思い、取締役は辞任させてもらいました。
今は薬剤師として起業を果たされています。
体よく安定した場所に落ち着いてしまったら悔しいし、応援してくださった方々に申し訳ないですから。堅実な薬局の世界に身を置くけれど、経営やITとかを掛け合わせることで、自分らしく可能性を追求していきたいんです。辞任後は調剤を覚えるために、薬局2軒で週6~7日勤務。2009年1月からは正社員として週5日勤務に加え、休みにはパートや休日当番薬局でのバイトも入れました。その結果、1年くらいで、開業資金として500万円貯金できました。
500万円で開業できたんですか?
譲渡なら、イニシャルコストとして十分でしょう。僕自身の独立時の例でいえば、案件紹介料100万円、営業権200万円と、あとは建物付き借地の保証金に、薬剤購入費といったところを500万円で賄いました。レセコンや什器はそのまま引き継ぎ、薬局名も変わらなかったので、看板もそのまま使用です。支払いサイトなどを考慮して、キャッシュフローを考えておけば、十分回していけると思います。借り入れは一切していません。
人件費は?
最初はどのくらい黒字が出せるか不安だったので、事務もゼロにして、すべて一人でやりました。まずは自分で事務の仕事もやってみて、覚えてから人を雇うべきとアドバイスされたので、3カ月ほど一人でやって仕事を覚え、夏前に事務の方を雇いました。しかし、やはり一人では大変ですし、分業した方が効率はいいと感じます。
事務の方はやはり別に欲しいですね。
事務方をサポートしてくれる人がいると安心ですね。ただ、1店舗目は薬局名も引き継いでいたので、新規に問診票を書いていただく必要がなかったんです。だから何とか一人でもできました。新規開業では、当初来局される方すべてに問診票を書いていただくので、その手間がものすごくかかりました。2店舗目のときに痛感しました。
採用はどのように?
1店舗目では、患者さんと仲良く話しているうちに、その方が事務として働きたい、ということになって(笑)、広告などを出す前に決まりました。2店舗目では、新聞の折り込みチラシの求人を使いました。若い方を求めるならネット広告でしょうが、ある程度ベテランで、お店を任せられる薬剤師を探していました。結局イメージどおり、新聞を購読される世代である50歳前後の管理薬剤師と、30~40代で子育て中の方々を採用できました。現在、薬剤師4名と事務2名すべてパートで、シフトを組んで一人ずつ入ってもらっています。
今回の応援団員
あべ・しょうた2008年城西大学薬学部製薬学科卒業。在学中にネットベンチャーを起業するも、家庭の事情で断念。手堅い薬局経営を志して、調剤業務を覚えるために調剤薬局に正社員として勤務しながら、休日もパートなどで経験を積むとともに、資金を準備。2010年、譲渡により薬局を開業し、現在2店舗を経営。
開業ヒストリー
スター薬局
株式会社ピークウェル
東京都中野区大和町1-1-25
TEL:03-3330-5114
URL:http://ameblo.jp/yakkyoku-abe/